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2023.6.29 展示会

海外展示会で感じたスタートアップの未来  ー2023年版ー

2023.6.29 お知らせ


みなさん、こんにちは。
Milk.株式会社の中矢です。

 

昨年はタイ、フィンランド、そして今年は台湾、フランスで行われた展示会に参加しました。
スタートアップを中心とするテック系企業が集まる展示会には、数千~数万の会社が参加しています。

さらに、私たちMilk.Incは、国内でも毎月のように展示会に参加しております。


海外の展示会に参加して、私が強く感じたことは、
海外(特に欧米)のスタートアップのトレンドが1年ほど遅れて日本にやってくるということです。

 

つまり、「海外の展示会に出ていると日本のスタートアップ業界の未来が見える」と言い換えることができます。

 

そこで今回は最近の半年の海外展示会で感じたスタートアップの未来ということでお話をしようと思います。

ちなみに最近参加した海外展示会は以下の通りです。

 

  • SLUSH 2022

 

  • InnoVEX 2023

 

  • VIVA Technology 2023

 

どれもシリコンバレーのスタートアップや投資家を含め、世界中から万単位の人が集まる世界的に有名なイベントです。

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SLUSH2022の会場の様子

各イベントの様子などもご紹介したいところですが、今回はそのエッセンスともいえる「トレンド」にフォーカスしてお話しようと思います。

 

では、目次です。

 

 

という3つのポイントについて述べていきたいと思います。

 

 

1.「○○スタートアップ」に投資が集中!


特にVIVA Technologyという約15万人が来場した最大級のスタートアップイベントでもこのワードが非常に多く飛び交っていました。

ズバリ、それは「ディープテックスタートアップ」です。

すでに日本でも言葉としては知られてきていますが、ディープテックとは、その言葉通りディープなテクノロジーであり、科学的には発見されているが社会実装まではまだ道のりがながい技術や発明ということになります。

ですので、ディープテックスタートアップというと、ディープなテクノロジーを持っているスタートアップということになります。

では、なぜこのディープテックスタートアップが今、注目されているのか?

その答えは非常にシンプルで、成長すると大きな社会変革になるという理由が挙げられています。

これまでビジネスの中心は、「すぐに売れるもの」もしくは「組合せると売れるようになるもの」といった比較的すぐにマネタイズできる商品を中心に扱ってきました。
しかしながら、スタートアップファイナンスが進化してきた今、10年近く赤字続きの企業でも上場も可能であったり、出資が集まる傾向にあります。

日本のディープテックスタートアップの代表格である株式会社ユーグレナは2005年8月ですが、黒字転換したのは2010年度です。ディープテックスタートアップがどのくらいの期間で黒字転換するかという統計データを見つけることはできませんでしたが、私は比較的早いほうだと感じました。

このように、たとえすぐに売上をあげることのできないディープテックスタートアップであっても、数年間分の活動資金を調達できる状況です。

そのため、今投資家が注目しているのが、社会をより大きく変え得るスタートアップです。

ディープテックは、前述のとおり「まだ世の中に広まっていない技術」ですので、その事業領域は非常に広範囲に及びます。そのため、展示会の中では、「いかにディープテックスタートアップを増やしていくか」または「ディープテックスタートアップをいかに早く成長させるか」といった議論が盛んにおこなわれていました。

少し宣伝になりますが、Milk.株式会社も「ハイパースペクトル技術」をベースとしたディープテックスタートアップです。皆様からのご出資お待ちしております(笑)

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VIVA Technology 2023の様子

2.世界から注目される○○でのビジネス展開


海外の展示会の中で最も驚いたのは、ある地域から非常に革新的で、見たこともないビジネスが数多くうまれている現状を知ったことでした。

それはアフリカです。

2022 AFRICA TECH VENTURE CAPITAL」によると、アフリカでの株式による資金調達件数は昨年比で8%成長を遂げています。

一見すると大した数字に見えないかもしれませんが、世界全体では35%も投資件数が落ち込んでいることを考慮すると驚異的な伸びをみせていることがわかります。

なぜアフリカでのスタートアップが伸びているのか?

様々なディスカッションが行われていましたが、その理由1つは、「実証試験を行うのに適した環境」であることのようです。

例えば、ドローン一つとっても日本において人口密集地域では飛ばすことは容易ではありません。機体の登録や飛行許可を事前に申請して得ている必要があります。

しかし、アフリカでは、そのような許可が必要でない国や地域が多い上、人口が2億人を超えるナイジェリアのような国では統計データも収集しやすく、さまざまな製品の実証実験を行うのに適した環境がそろっているようです。

また、別の理由として「年齢が若い」ということも挙げられていました。

ナイジェリアの平均年齢は18歳。人口が1億人を超えるエジプトでも24.1歳という現状であり、チャレンジしやすい環境がそろっているといえます。

ちなみに日本の平均年齢は48歳ということで、エジプトの約2倍の数値となっています。

私は必ずしも年齢によってチャレンジがしづらくなるとは思っていませんが、体力や身体的な自由度は高いことからハードルは低いといえると思います。

今後、アフリカへの事業展開はさらに身近になっていくことでしょう!

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InnoVEX 2023の様子

 

3.スタートアップにも○○への配慮が求められる時代に


海外の展示会にはいくつものステージが用意されており、そこで会期中は隙間なくプレゼンテーションやトークセッションが開催されています。

私もいくつかのプレゼンテーションに応募し、参加させていただきましたが、その応募の際に驚いたことがあります。

企業情報を入力する欄に役員や従業員の男女比率、そして、国籍の異なる従業員がいるかどうかを記載する欄を見つけたことです。

いわゆる「ダイバーシティ&インクルージョン」を意識しているかどうかを問う項目でした。

「ダイバーシティ&インクルージョン」とは人材の多様性(=ダイバーシティ)を認め、受け入れて(=インクルージョン)活かすことを指します。


1名から始まることが多いスタートアップにおいて、「ダイバーシティ&インクルージョン」を意識する機会は正直そう多くありません。もちろん例外はあり、社員数が数百名を超えてきているメガベンチャーや、上場しているスタートアップは、外部監査もあるためそのような意識を強く持っています。

今後、スタートアップであっても、ダイバーシティ&インクルージョンを強く意識しているか、社会的責任にどれだけ応えられているのかをより厳しく問われてくるようになるのかもしれません。

以上、いかがだったでしょうか?

スタートアップが世界中で数多く生まれ、社会変革を起こそうと日夜成長を続けています。

こうしたスタートアップのうち、生き残っていく企業がやがてGAFAを超える大企業へと成長し、社会全体をさらに豊かにしていくことでしょう。

日本にもスタートアップが数多く生まれ、成長できるエコシステムが必要だと思っています。この記事が日本のスタートアップ業界を盛り上げていくための一助になれたら幸いです。

次回は、世界中で行われるスタートアップの戦いの場「ピッチイベント」について自分なりに分析した内容をまとめてみようと思います。

では、お楽しみに―!

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