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2024.12.26 ハイパースペクトルカメラ

ハイパースペクトルカメラは分解能で選ぶべきか?

2024.12.26 お知らせ

Milk.株式会社は宇宙技術「ハイパースペクトルカメラ」を中核技術として所有するディープテックスタートアップです。現在は、「ハイパースペクトルカメラ」をがん細胞の識別に応用して高精度な診断を実現するANSWER for Pathologyの開発を中核とし、解析コンサルティングやWebアプリ開発受託も行っています。ハイパースペクトルカメラの活用に関しては、医療分野以外にも様々な分野で活用して解析を行い、ソリューションを開発してきました。

 

  記事のポイント💡

 ・ハイパースペクトルカメラとはどのようなものか?

 ・分解能とはどのようなものか?

 ・ハイパースペクトルカメラを分解能で選ぶことの是非をプロが解説

 

1.ハイパースペクトルカメラとは?

ハイパースペクトルカメラは、従来のカメラの色彩情報が3原色であるのに対し、141原色の色彩情報を有し、人間の目では見分けることの出来ない色(=ゴーストカラー)の違いを見分けることが出来るカメラです。また、従来のカメラとハイパースペクトルカメラの中間ほどの色彩情報を有するカメラとして、マルチスぺクトルカメラがあります。

※ゴーストカラー・・・可視光領域における人間の目で識別できない色に対する当社独自の呼称

 

 

なお、当社ではハイパースペクトルカメラを、市場に出回っている製品から「特定範囲の波長帯を数十~数百の波長のまとまりで分割した情報(分光情報)とその位置情報(ピクセル)を同時に取得できるカメラ」と定義しています。

波長数の多さや連続的なスペクトルを取得できることを要件とするケースもありますが、 それぞれの方式にメリットがあるので広義に捉えています。

 

参考:Milk.株式会社「ハイパースペクトルカメラとは?

https://www.milk-med.com/blog/2024-03-25/

 

2.分解能とは?

ハイパースペクトルカメラのスペックの1つとして、分解能が示されることがあります。分解能はハイパースペクトルカメラに限らず、顕微鏡や望遠鏡などでもスペックの1つとして示されますが、この分解能とはどのようなものなのか解説します。

分解能は計測機器で対象を測定または識別できる能力を指し、計測できる一番小さな値となります。分解能には、空間分解能と色彩分解能があり、さらに色彩分解能の中にはバンド数によって定義される分解能と、波長分解能という実質的な分光精度と同義となるものがあります。それぞれについて解説をいたします。

 

a.空間分解能

空間分解能は幾何学的な分解能を指しているもので、ハイパースペクトルカメラが一度に取り込むことができる領域の範囲に関する能力です。空間分解能が高ければ、より高精度で小さな対象物を撮影して解析することが可能となります。

b.波長分解能

波長分解能とは、カメラが隣接する波長バンドを区別できる能力です。当社のハイパースペクトルカメラでは概ね350-1,050nmを5nmごとに分解しています。実際の波長分解能としては1nmから3nmの分解能を有していますが、データが大きくなることで扱いづらくなることから、当社では5nm分解の仕様にしています。また、波長分解能については分光時のズレ(分光精度)にも注意する必要があります。

 

 

 

3.分解能でハイパースペクトルカメラを選ぶべきか?

ハイパースペクトルカメラの仕様において、分解能は非常に重要な要素の1つであることは間違いありません。一方で、分解能がとにかく高いものを選択すれば良いか?というと、必ずしもそれが正しいとは言えません。ハイパースペクトルカメラを選ぶ際に重要なことは、分解能以上に実用性です。分解能が高いカメラはそれだけデータ量が大きくなり、時には不要なデータを拾ってしまうことにもなります。分解能が高いカメラを活用する際は、その膨大なデータを解析するためのソフトウェアがなければ、目的が達成できません。また、高い分解能を様々な撮影条件の中でも精度高く発揮できるかという点も重要です。撮影の対象物によっては、必ずしも平らな場所で一方向からのみの撮影とはならないため、カメラの位置や向き、場所を変えても高い分光精度を維持することが出来るかどうかという点も重要となります。このようにハイパースペクトルカメラを選ぶ際は、分解能の高さだけではなく、その膨大なデータ量を解析するためのソフトや分光精度の高さも含めた実用性を軸に選択すべきであるといえます。

4.ハイパースペクトルカメラをお探しならMilk.

なるべく網羅的に精度の高い分光性能を搭載している「ハイパースペクトルカメラ」と、その膨大なデータを扱う「解析ソフト」の双方が重要になることがお分かりいただけたかと思います。この点、当社のハイパースペクトルカメラは天地方向にしても分光精度を維持することができ、ドローンにも搭載可能な仕様となっており、分光誤差は0.3nmという極めて高い精度となっている点が特徴です。そして、当社は多くの解析実績に基づくノウハウと、独自開発した解析ソフト”ANSWER”があります。このようにハイパースペクトルカメラの分光精度と独自開発の解析ソフトからくる実用性が当社の強みとなります。

当社ではハイパースペクトルカメラを活用した解析により、狙う波長を特定した上で、マルチスペクトルカメラ等、分解能のスペックを落として扱うデータ量を限定することで、実装に向けた開発を見据えたサポートを提供しております。

当社はハイパースペクトルカメラの製造・販売だけでなく、お客様の目的に合わせて、開発のサポートをすることで、お客様に実用性の高いソリューションを提供しています。ハイパースペクトルカメラにご興味を持たれましたら、是非、当社までご連絡ください。

 

参考:Milk.のスペクトルAI計測サービス

https://hscform.milk-med.com/

 

 

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