ハイパースペクトルカメラとは?よくあるハイパースペクトルカメラの欠点をご紹介
目次
ハイパースペクトルカメラは、人間の目では見分けることの出来ない色の違いを見分けることが出来る高性能なカメラですが、お客様より欠点・短所についてご質問をいただくことがあります。今回はハイパースペクトルカメラのプロフェッショナルであるMilk.が、ハイパースペクトルカメラの欠点・短所について、分かりやすく解説します。導入を検討されている方は、是非、ご覧ください。
1.ハイパースペクトルカメラとは?
ハイパースペクトルカメラは、従来のカメラの色彩情報が3原色であるのに対し、141原色の色彩情報を有し、人間の目では見分けることの出来ない色(=ゴーストカラー※)の違いを見分けることが出来るカメラです。
※ゴーストカラー・・・可視光領域における人間の目で識別できない色に対する当社独自の呼称
日本国内外では、さまざまな分光方式によるハイパースペクトルカメラ(センサ)が販売されています。その中でも今回は、国内で主流となっている「内部スキャン方式」のハイパースペクトルカメラを取り上げて、その欠点について説明します。
参考:国立環境研究所「ハイパースペクトルカメラの利用について」
https://www.nies.go.jp/kanko/news/33/33-1/33-1-05.html
2.ハイパースペクトルカメラの欠点とは?
内部スキャン方式のハイパースペクトルカメラは、カメラ内部にスキャン機構を搭載している点が特徴です。計測方式は空間掃引方式というもので、イメージとしてはコピー機のようなスキャナ方式になります。この内部スキャン方式のハイパースペクトルカメラの欠点としては、以下の3点が挙げられます。
・組み立てが困難で、最低でも数十nmレベルの組み立て精度が求められる点
・移動体の撮影が苦手である点
・スキャン範囲が限定される点
第一に組み立てが難しく、最低でも数十nmレベルという組み立て精度が求められます。なお、Milk.のハイパースペクトルカメラは子会社のIrisで製造していますが、0.3nm以下の分光誤差という精度で組み立てが可能です。次に移動体の撮影が苦手で、スキャン範囲も限定されるため、実装にあたっては注意が必要です。したがって、高性能なカメラではありますが、利用する際にはきちんと欠点を理解しておく必要があると言えます。
3.ハイパースペクトルカメラのを利用するにあたっての問題点
ハイパースペクトルカメラにはさまざまな分光方式のカメラがあり、内部スキャン方式以外のハイパースペクトルカメラもあります。このように分光方式の異なるハイパースペクトルカメラについて、その特徴(長所・短所)を理解し、用途・目的に合わせて仕様を決めていかなければならない点が、利用にあたっての最大の問題点です。万が一、用途・目的に合っていないカメラを採用すると、期待する計測が行えない恐れがあります。
例えば、計測方式は同じ空間掃引方式でも、スナップショット方式で製造されているハイパースペクトルカメラもあります。こちらのカメラの長所は、小型でリアルタイムに撮影が可能なため、ドローンへの搭載には最適です。一方で、受光素子の大きさに限りがあるため、バンド数が限定され、各画素にフィルタを割り当てるので、画像サイズが小さいといった短所があります。また、光の漏れやリークなどを考慮したレンズを装着する必要もあります。これらの長所・短所を理解した上で、仕様を決定する必要があるのです。
4.ハイパースペクトルカメラの導入事例
次は、当社におけるハイパースペクトルカメラの導入事例の一部をご紹介します。今回ご紹介する他にも多くの分野のお客様からご要望をいただいておりますが、下記をご覧いただくと、幅広い用途・目的に合わせて、当社が開発していることがご理解いただけるかと思います。
・医療分野:がんのグレード分類
・食品分野:マグロの鮮度解析に活用
・インフラ分野:ドローンに装着して保守メンテナンスに活用
・防災分野:土壌の水分量の解析に活用
・機器検査分野:お札の真贋解析に活用
・美容分野:ファンデーションの塗布具合や皮膚への影響の解析に活用
導入にあたっては、当社ではお客様のご要望をきちんとヒアリングし、PoCを行った上で、用途・目的に合わせたカメラシステムを開発しています。さらに、当社ではハードウェアだけでなく、ソフトウェアも開発しており、お客様のニーズに合わせたソフトウェア開発を行うことで、より効果的な導入を実現しています。
参考:当社のWebアプリケーション開発の特徴
https://www.milk-med.com/service/application/
5.ハイパースペクトルカメラで出来ること
ハイパースペクトルカメラは1画素あたりに141原色の分光情報をとらえます。機種により様々ですが、基本的には可視光+近赤外領域(350nm~1050nm)を分光しているケースが多く、これにより、人間が見分けられないような微細な色合いの違いを見分けることができます。つまり、今回、ご案内しました通り、どのような分光方式を採用するかなど、仕様ごとのメリット・デメリットを理解していれば、非常に幅広い分野で活用が可能となります。
医療分野においては、がんの診断へ活用することができ、医師の方々の経験やスキルに依存していた診断精度の均質化を図ることができます。 また、品質検査や保守点検においても同様に、人間の目視検査による精度のバラツキを解消するとともに、業務効率化による人手不足解消の課題解決も可能です。 さらには、食品分野においては、人間の目では外見上はとらえられない色の変化を識別することで、腐敗の検査にとどまらず、「腐敗の予測」までも可能となります。このように物体の将来的な変性を予測することにも、今後の活用が見込まれます。
6.Milk.のハイパースペクトルカメラが選ばれる理由
ハイパースペクトルカメラはこれまで述べてきたように、用途・目的に沿った仕様を選択して、開発・製造することが重要となります。この点、Milk.のハイパースぺクトルカメラは、本体の開発・製造を子会社であるIrisで行っており、画像解析のソフトウェア開発をMilk.が行っています。そのため、PoCからカメラの開発・製造、さらにコンサルまで行うため、お客様のニーズに合わせて導入に向けたカスタマイズができます。そして、国内 製造であるため、カメラシステムの保守メンテナンスにおける柔軟性もあります。これらの点をお客様に評価いただき、Milk.のハイパースペクトルカメラを選んでいただいています。
7.まとめ
当社はハイパースペクトルカメラのプロフェッショナルとして、欠点を理解した上で、お客様のニーズに合わせた導入を実現しています。ハイパースペクトルカメラの導入を検討されている方は是非、ご連絡をいただければと存じます。
Milk.株式会社
古川