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2024.4.8 ハイパースペクトルカメラ

ハイパースペクトルカメラを購入せずレンタルするべき3つの理由

2024.4.8 お知らせ

 

 

こんにちは。Milk.株式会社の藤井です。

今回はハイパースペクトルカメラのレンタルに関して、記事を書いていきます。

 

サムネイルのように「購入しちゃダメ」というのは極端な表現ですが、実際、弊社はハイパースペクトルカメラの代理店をしているにも関わらず、ハイパースペクトルカメラの購入をあまりおすすめしていません。

 

実際、ご購入を希望されているお客様にも、まずは「レンタルしてみてはどうでしょうか?」というご提案をしています。そして、できる限り購入せずに済むプランを一緒に考えています。

 

他社様も、購入前のデモは当然されていますが、あくまで購入前の使用感の確認に留まっているかなと思います。

 

今回は、ご購入を検討されている方に向けて、弊社がどうしてそんなことをしているのか、そして、逆にどういったケースで購入が必要になるのかについて、解説していこうと思います。

 

1.ハイパースペクトルカメラの購入をおすすめしない3つの理由

 

弊社がハイパースペクトルカメラの購入をおすすめしていないのは、以下の3点が理由です。

 

①現場への導入はハイパースペクトルカメラではないケースが多い

②ハイパースペクトルカメラをメンテナンスできる会社が少ない

③ハイパースペクトルカメラの金額が高く、比較検討がしづらい

 

それぞれ解説していきます。

 

①現場への導入はハイパースペクトルカメラではないケースが多い

 

まず一点目ですが、ハイパースペクトルカメラの利用は、大きく「研究目的」と「開発目的」で分かれます。どちらの目的でも最初から購入を検討される方がいらっしゃいます。

 

開発目的の方が比較的予算が大きいケースが多いので、購入を検討される方が多いのですが、ここに落とし穴があります。

 

実際に現場にソリューションとして導入する際には、「結局、ハイパースペクトルカメラを使わないでいい」となるケースが多いからです。

 

何らかのソリューションを提供する場合、大抵は汎用性よりも専門性が求められます。

例えば、異物検知に使用する場合、「異物全てをこのカメラで検知したい!!」というよりも「通常のカメラでは見分けがつかない”〇〇”をこのカメラで見分けたい」となります。

 

その場合、ハイパースペクトルカメラは、物質の固有の波長吸収/反射を観察するために使用し、最終的には、その波長に合わせたバンドパスフィルターの組み合わせで製品を開発するケースの方が圧倒的に多いです。

 

最終的な製品にもハイパースペクトルカメラを使用するなら問題ないですが、マルチスペクトルカメラや単波長カメラを導入するなら、研究フェーズでは必ずしも購入の必要はありません。

 

②ハイパースペクトルカメラをメンテナンスできる会社が少ない

 

ハイパースペクトルカメラは精密機器のため、定期的なメンテナンスを実施することが精度の維持のために必要になってきます。

 

ただ、現実問題として、過去購入したハイパースペクトルカメラについてその後メンテナンスできる会社は少なく、できたとしても高額で、期間が長くかかるケース(機種や故障具合によりますが、数十万円で1ヶ月以上から)が多いです。

 

海外製のハイパースペクトルカメラがシェアとして大きいことも原因ですが、まだ業界が成熟しておらずメンテナンスできる人材が少ないため、丁寧なフォローアップが難しいのです。

 

弊社が解析コンサルに入った会社様でも、過去に購入されたハイパースペクトルカメラが十分にメンテナンスされておらず、弊社が入った段階ではまったく計測に使える状態ではなかったというケースが何度かありました。

 

もし、長期的にメンテナンスに十分な予算を投下できない可能性が高い場合や、精度が重要になる研究をされる場合には、この点を考慮に入れた方がいいと思います。

 

 

③ハイパースペクトルカメラの金額が高く、フラットな比較検討がしづらい

 

ハイパースペクトルカメラは数百万円以上する高額なカメラです。通常であれば、十分な比較検討をした上で投資対効果を考慮して購入するべき金額なのですが、分光方式や撮影方式、データの特性などがそれぞれに異なり、ハイパースペクトルカメラ購入の際にフラットな比較がしづらい背景があります。

 

メーカーや代理店の方の基準で数台はデモ利用をするかもしれませんが、十分な比較検討をできないまま購入に進むケースが多くなります。

 

結果として、「購入したのはいいけど、最初想定していた用途以外では全く使わない」というもったいない結末を迎える方が多くいらっしゃいます。

 

そんなことになるなら、ハイパースペクトルカメラの技術への理解が深まるまでは、レンタルを前提にしてしまってもいいのでは?と思います。

 

こちらの記事(https://www.milk-med.com/blog/2024-03-25/)でも紹介しているように、

ハードウェア面での技術の進歩が近年は著しいので、購入ではなくレンタルをすることで

最新の技術に触れ続けられるという観点もあります。

 

2.ハイパースペクトルカメラの購入をおすすめするケース

 

 

では、逆に弊社がハイパースペクトルカメラの購入をおすすめするのはどういったケースでしょうか。3つ考えてみました。

 

①長期間、ハイパースペクトルカメラで定点観測がしたい場合

②ハイパースペクトルカメラをレンタルできない条件で撮影したい場合

③何度もハイパースペクトルカメラのレンタル予算を申請するのが難しい場合

 

それぞれ簡単に解説します。

 

①長期間、ハイパースペクトルカメラで定点観測がしたい場合

 

長期間にわたって経時変化を捉えたい場合は、レンタルよりも購入した方がコストが安くなります。具体的には、弊社の提供しているレンタルサービスだと、だいたい8ヶ月以上継続的にレンタルするなら、購入した方が安くなります。

 

自然物の季節変化を見たい方などもいらっしゃるので、そういった場合には購入をお勧めしています。

 

②ハイパースペクトルカメラをレンタルできない条件で撮影したい場合

 

弊社のハイパースペクトルカメラレンタルサービスは、独自の保険をかけることでドローン搭載などの多くのケースでレンタルに対応しています。ただし、破損や紛失可能性が高いケースではハイパースペクトルカメラをレンタルすることが難しくなります。

 

例えば、深海での利用や海岸沿いでの保護の少ない環境での長期間放置など、ユースケースによっては購入をおすすめしています。

 

③何度もハイパースペクトルカメラのレンタル予算を申請するのが難しい場合

 

研究予算の都合上、結果的に安かったとしても、年度を跨いだ発注が難しかったり、手続きの手間を考慮すると現実的にハイパースペクトルカメラをレンタルの選択肢を選べないケースもあると思います。

 

当然ですが、その場合はハイパースペクトルカメラの購入をおすすめしています。(購入予算に合わせて、解析サポートなども提供)

 

3.Milk.株式会社が提供しているハイパースペクトルカメラレンタルサービスについて

 

 

最後に、弊社の提供しているハイパースペクトルカメラのレンタルサービスについてご紹介します。条件としては下記の表通りです。

 

型番

HSC1703-USB2/HSC1803-USB3/HSC零式

センサー

CCD/CMOS/CMOS

計測波長域

350nm~1050nm

バンド数

141バンド

1バンド/波長域

5nm

画素数

約30万画素/約130万画素/約207万画素

レンタル価格

税抜 5万円/1日 10万円/3日 17万円/週(アカデミックでのご利用の場合、同価格で+2日間)

保険料

2万円(レンタル期間を問わず一律)

 

弊社は、2007年から販売実績が100台以上あるIris社(旧北海道衛星株式会社)製のハイパースペクトルカメラ3機種をレンタル用に4機(2024年4月時点)用意しており、幅広いニーズにお応え可能です。

 

この機種は分光精度が高く、取り回しがいい(顕微鏡取り付け、三脚取り付けが可能)ことが特徴で、幅広い研究用途で自信をもっておすすめできるハイパースペクトルカメラです。

 

また、独自の保険を適用しているため、比較的多用途での利用が可能です。

 

=====

 

レンタルという表現ではありませんが、他にもメーカーさんや代理店さんで有償デモや無料デモを行っている会社様はございます。(KLV様やデルフトハイテック様など)

 

KLV様については、弊社でも有償デモを利用させていただいたことがありますが、対応も非常に丁寧でしたので、他機種のハイパースペクトルカメラが必要な場合はお問合せいただけるとよいかなと思います。(弊社経由での発注も可能です)

 

4.最後に

 

ここまでお読みいただきありがとうございます。

 

できる限りフラットな立場でお話しいたしました。もし、直近でハイパースペクトルカメラの購入やレンタルをお考えの方いらっしゃれば、これまでの知見をフル活用して全力でご相談に乗らせていただきますので、ぜひ以下のフォームよりご相談ください。

 

https://hscform.milk-med.com/

 

ーハイパースペクトルカメラメーカー、代理店の方へ

 

今回のブログは、ハイパースペクトルカメラの購入しか選択肢のない状態が続くことで、「コストをかけてハイパースペクトルカメラを購入したけど使えない」という負のレピュテーションが貯まることを避けるために執筆いたしました。

 

ハードウェアメーカー様や代理店の方の努力で次々と生まれている新しいハイパースペクトルカメラの可能性を解き放つ存在として、弊社としても業界全体をより活性化できればと考えています。

 

引き続き、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

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